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診療時間
8:30~17:00
休診日
第2/第4水曜、第1/第3/第5土曜、日祝

糖尿病および
主な関連疾患

1型糖尿病

1型糖尿病は、体内でインスリンを作る膵臓の細胞が破壊されるため、インスリンがほとんど、もしくはまったく分泌されなくなる病気です。このため、血糖値を正常範囲に保つためにインスリンを注射などで補う必要があります。多くの場合、幼少期や青年期に発症しますが、大人になってから発症するケースもあります。

1型糖尿病では、インスリンが不足すると高血糖や酸性物質(ケトン体)が増え、放置すると意識障害や命の危険につながることがあります。したがって、日々の生活で適切な血糖管理が非常に重要です。

治療の基本方針

当クリニックでは、1型糖尿病の治療の基本として強化インスリン療法を行っています。この治療は、以下のようにインスリンを使い分けて、食事や空腹時の血糖値をコントロールする方法です。

食事インスリン

食事のたびに血糖値が上がるのを抑えるために、食事前に短時間作用型のインスリンを注射します。

基礎インスリン

空腹時の血糖値を安定させるため、1日を通して血糖を管理する長時間作用型のインスリンを使用します。

個々のライフスタイルに合わせた
サポート

1型糖尿病の管理は、個人の生活スタイル(食事の時間や内容、運動量、仕事内容など)によっても異なります。当クリニックでは、皆さまのライフスタイルや希望に合わせて治療プランを調整し、最適な血糖管理ができるようサポートします。

持続血糖測定(CGM)の活用

より正確な血糖管理を目指し、持続血糖測定器(CGM)を活用することも可能です。CGMは、皮膚に小さなセンサーを取り付けて血糖値の変動をリアルタイムで把握できるデバイスです。食事や運動、ストレスなどが血糖値にどう影響するかを把握できるため、インスリンの調整や日常生活での血糖コントロールがしやすくなります。

CGMデータの評価法

CGMを使用することで、時間帯ごとの血糖値の変動が視覚的にわかるため、以下のようなポイントで血糖管理を改善するヒントが得られます。

  • 血糖が安定している時間帯や急激に上がりやすい時間帯の把握
  • 運動や食事の影響がどのように現れるかを把握し、インスリン量を調整
  • 睡眠中の血糖変動を確認し、夜間低血糖の予防

当クリニックでは、CGMを希望する方やインスリン治療中の方に積極的に活用をお勧めし、より効果的な治療ができるようサポートしています。

自動調整機能付きインスリン
ポンプシステムの活用

当院では自動調整機能付きインスリンポンプシステムの活用も推奨しています。このシステムは、CGMと連動し血糖値を自動的にモニタリングし、必要に応じてインスリン投与量を調整してくれるインスリンポンプです。このシステムは、24時間体制で血糖値の変動をチェックし、高血糖や低血糖を防ぐために自動的にインスリン量を調節します。特に食事や運動、ストレスといった要因で血糖値が変動しやすい方に適しており、毎日のインスリン管理をサポートしてくれます。
具体的には、インスリンが足りなくなる前に追加投与を行ったり、低血糖のリスクがある場合にはインスリン量を減らしたりといった調整を自動で行います。さらに、スマートフォンなどからも簡単にデータを確認でき、医師と情報を共有することで、より効果的な治療が可能になります。

こんな方におすすめ

  • 血糖値の管理が難しいと感じる方
  • 日常的に頻繁な血糖チェックが負担な方
  • 低血糖や高血糖を避けたい方

安全性もサポート

システムは医療機器として厳しい基準を満たし、医師の指導のもとで使用されます。万が一、システムで調整しきれない場合も、従来のインスリンポンプのように手動で調整することも可能です。

2型糖尿病

2型糖尿病は、体内でインスリンが適切に働かなくなる(インスリン抵抗性)か、インスリンの分泌が不十分になり血糖値が高くなる病気です。生活習慣(食事、運動、ストレスなど)の影響も大きく、加齢や遺伝も発症リスクに関わります。糖尿病を適切に管理しないと、神経障害や網膜症、腎臓病といった合併症のリスクが高まります。

治療の基本方針

生活習慣の改善と自己管理教育

糖尿病管理では自己管理が重要です。当クリニックのスタッフが、皆さまの生活習慣や価値観に基づいた個別の指導を行い、自己管理の継続をサポートします。皆さまのご意見を定期的に伺い、治療計画を見直しています。
2型糖尿病の治療は以下の3つを柱としています。

1食事療法

糖尿病治療において、特定の食品の禁止や極端な制限はなく、バランスよく食べることが基本です。管理栄養士が食事の内容や食事時間の改善をサポートし、生活の質向上を目指します。管理栄養士とともに適切な食事療法を行うことでHbA1c値(血糖値の2~3ヶ月間の平均値)を1型糖尿病で1.0~1.9%、2型糖尿病で0.3~2.0%低下させることが知られています。

2運動療法

日常生活で無理なく取り入れられる運動を提案し、安全かつ効果的に実施できるようサポートします。運動療法による血糖低下効果は食事療法に比べると弱いことが知られていますが、適度な運動療法は皆さまの体力、心肺機能、免疫力の維持に不可欠です。

3薬物療法

食事と運動療法だけで血糖管理が難しい場合、薬物療法を行います。まずは副作用が少なく安全性が高いメトホルミンを優先的に処方し、必要に応じて他の薬剤を追加します。また、皆さまの生活スタイルに合わせて最適な薬を選び、できるだけ少ない負担で管理できるよう配慮します。

当クリニックの方針

当クリニックでは、薬の選択にあたって、皆さまの病状に応じた最適な治療薬を提案しています。治療によって得られる効果だけでなく、薬のコスト、副作用、服薬や注射の手間なども考慮し、治療によるメリットが負担を上回るような治療を心がけています。皆さま一人ひとりの病状を丁寧に把握した上で、副作用を抑え、最大限の効果が得られる薬を選択いたします。
以下のような方針で治療を行っています。

低血糖リスクの回避

低血糖を引き起こしやすいスルホニル尿素薬やグリニド薬は、原則として使用を控えています。ただし、インスリン治療を希望されない一部の腎不全症例やステロイドによる糖尿病に限り、グリニド薬をご提案することがあります。

有効性に高い薬剤を優先

効果が不十分な古い薬剤は使用せず、血糖改善効果が高く、安全性も確認されている薬を基本に治療を行います。

2型糖尿病治療薬選択に影響を与える10項目の表

膵臓のインスリン分泌と薬剤の選択

膵からのインスリン分泌量と薬剤選択

2型糖尿病において、膵臓から分泌されるインスリン量は、治療薬の選択に大きく影響します。
この図は、インスリン分泌量の違いに応じた薬剤の選択を視覚的に示したものです。

インスリン分泌量の違いと治療戦略

図の上部に示されている赤い矢印は、膵臓からのインスリン分泌量の増加を示しています。左側がインスリン分泌が低い状態、中央が平均的な量、右側が比較的高い状態です。

各薬剤の特徴と適応

インスリン分泌が低下している場合(左側)には、インスリン補充が必要になるため、インスリン製剤の使用が考えられます。一方、インスリン分泌が保たれている場合(右側)には、インスリンの働きを高める薬剤の使用が有効です。

1インスリン(最下部)
  1. 1.インスリン分泌が極端に低下している場合に必要。
2DPP-4阻害薬 / イメグリミン
  1. 1.インスリン分泌を促進する薬剤。
  2. 2.比較的インスリン分泌が維持されている状態に適応。
3メトホルミン / GLP-1RA / チルゼパチド
  1. 1.肝臓や腸管を含めた糖代謝を改善し、血糖値を上昇させるグルカゴン分泌を低下させインスリン分泌を助ける作用を持つ。
4SGLT2阻害薬
  1. 1.インスリン分泌に依存せず、腎臓からの糖排泄を促進して血糖値を下げる薬剤。
5ピオグリタゾン(最上部)
  1. 1.インスリンの感受性を改善し、インスリンが十分に分泌されている場合に有効。

この図を活用することで、皆さまお一人おひとりののインスリン分泌レベルに応じた治療戦略を考える助けになります。

社会的サポートと柔軟な治療方針

治療が難しくなる社会的な要因(経済状況や生活環境、職場や家庭での制約)がある場合も、皆さまと一緒に「一歩前進の治療」を目指します。また、情報不足や誤解による自己管理が進行しないよう、必要な情報をわかりやすく提供します。

高血糖管理のポイント

高血糖が続くと合併症のリスクが高まります。特に、血糖値が非常に高い場合は、医師の指導のもと、速やかなインスリン治療が必要になることがあります。持続的な血糖管理のために、生活習慣の改善と薬物療法のバランスが重要です。

肥満症

福島県は、小児・成人ともに肥満率が高い地域です。将来の生活習慣病を予防するためには、適切な体重管理が非常に重要です。当クリニックでは日本肥満学会認定肥満症専門医が診療を担当します。

肥満とは

肥満は、体格指数(BMI)が25kg/m2以上、または内臓脂肪(腹部CTで内臓脂肪面積が100cm2以上)の状態を指します。特に、BMIが35 kg/m2以上の場合は高度肥満と定義されます。さらに、以下の健康障害のいずれかを合併している場合、医学的に減量が必要な「肥満症」「高度肥満症」と診断されます。

肥満症に起因ないし関連する
健康障害

  • 糖尿病・耐糖能異常(糖尿病予備軍)
  • 脳梗塞
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 高血圧
  • 心筋梗塞
  • 運動器疾患(変形性膝関節症など)
  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • 肥満関連腎臓病
  • 脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎
  • 月経異常・女性不妊

肥満の診断に含めないが肥満に
関連する健康障害

  • 悪性疾患(大腸癌・食道癌(腺癌)・子宮体癌・膵臓癌・腎臓癌・乳癌・肝臓癌)
  • 皮膚疾患:黒色表皮腫や摩擦疹など
  • 胆石症
  • 男性不妊
  • 静脈血栓症・肺塞栓症
  • 胃食道逆流症
  • 気管支喘息
  • 精神疾患(過食性障害・抑うつなど)

治療方針

肥満症の治療の基本は減量です。当クリニックでは、皆さまお一人おひとりの希望や負担感を確認し、もっとも負担が軽く効果を実感していただける方法を以下の組み合わせから選択します。また必要に応じて専門科へのご紹介を相談いたします。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 認知行動療法
  • 薬物療法
  • 手術療法(専門施設紹介)

減量の目標

肥満症では現体重の3%(通常3~5kg)、高度肥満症では現体重の5~10%を目指します。ただし、目標体重は個々の病態により異なるため、皆さま一人ひとりと相談しながら減量計画を立て、目標を設定します。減量を始めることで、糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝に伴う肝機能障害などの改善が早期に期待できます。

正しい減量のために

世の中にはさまざまなダイエット法がありますが、減量には長期間継続できる正しい知識を身につけることが大切です。健康診断や職場健診で肥満を指摘された方は、将来の病気を予防するためにも、早めに減量を始めることが重要です。

ウゴービ/ゼップバウンドによる肥満症治療(自由診療)のご案内

当クリニックでは、GLP-1受容体作動薬「ウゴービ(セマグルチド)」、GIP/GLP-1作動薬「ゼップバウンド(チルゼパチド)」を用いた肥満症治療を自由診療で提供いたします。
これらの薬剤は、厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」により、保険適用での処方は教育施設などに限られています。
当院は学会認定施設ではないため、自由診療でのご案内となります。

対象となる方

以下すべてに該当する方が対象です:

  • 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがある
  • BMIが35以上、またはBMI27以上かつ肥満関連疾患を2つ以上有する
  • 過去に生活習慣療法を実施しても十分な効果が得られなかった
  • 管理栄養士による継続的な栄養指導が受けられる方

治療は美容目的ではなく、医学的評価に基づいて実施されます。

自由診療の費用目安(税込)

項目 費用の目安
診察・検査費 保険点数相当額+消費税10%
自己注射指導管理費 月額16,500円(税込)

※詳細は個別にご案内いたします。

薬剤費用(みずき調剤薬局日和田店さまの許可を得て掲載しております)

ウゴービ規格 自己負担額(4週分)
0.25mgペン 1.0MD ¥8,020
0.5mgペン 2.0MD ¥12,980
1.0mgペン 4.0MD ¥22,200
1.7mgペン 6.8MD ¥34,350
2.4mgペン 9.6MD ¥45,980
ゼップバウンド規格 1キット(1週分) 2キット(2週分)
2.5mgアテオス ¥4,570 ¥7,630
5mgアテオス ¥7,300 ¥13,090
7.5mgアテオス ¥9,220 ¥16,940
10mgアテオス ¥10,500 ¥19,500
12.5mgアテオス ¥11,680 ¥21,860
15mgアテオス ¥12,740 ¥23,980

※価格は薬価改定等で変更の可能性があります。

体重減少効果(参考値)

薬剤名 体重減少率(72週) 備考
ウゴービ(セマグルチド) 約-13.7% 糖尿病合併例では効果約2/3
ゼップバウンド(チルゼパチド) 約-20.2% セマグルチドより高い減量効果

副作用について

主な副作用は消化器症状(吐き気・下痢・便秘など)で、多くは治療初期に軽度~中等度で現れます。
ゼップバウンドの方が中止率はやや低い傾向です(ゼップバウンド:2~3%、ウゴービ:5~6%)。まれに膵炎や胆嚢疾患、抑うつなどの報告もあり、注意深い経過観察が必要です。

治療の流れ

初回受診では保険診療による医学的評価を行い、治療適応があると判断された方に限り、2回目以降自由診療にて治療を開始します。

安心して治療を継続するために

当院では少量から段階的に投与を開始し、副作用の軽減と安全な継続を支援します。
また、万一重篤な副作用が生じた場合は、「医薬品副作用被害救済制度」への申請も可能です。

ご相談・お問い合わせ

024-968-2311
お気軽にご相談ください。

妊娠糖尿病(GDM)・
糖尿病合併妊娠(PGDM)

妊娠は母体の体に多くの変化をもたらし、血糖値の調節にも影響を与えます。特に妊娠後期になると、赤ちゃんや胎盤の成長によりインスリンの働きが弱くなる(インスリン抵抗性)ため、血糖値をコントロールするために、通常より多くのインスリンが必要になります。妊娠糖尿病は、妊娠前には正常な血糖値であっても、妊娠後期に血糖値が上昇して診断されることがあり、日本では約1割の妊婦がこの状態になると言われています。
一方で、糖尿病合併妊娠(PGDM)とは、妊娠前にすでに糖尿病の診断を受けている場合を指します。妊娠後、血糖値がさらに上昇し、通常より多くのインスリンが必要になることが多いです。

当クリニックでは、初診から出産まで一貫した治療方針を提供し、皆さまの血糖管理をしっかりとサポートします。

血糖管理の目標

妊娠中は母体と赤ちゃんの健康を守るため、できるだけ正常な血糖値を保つことが求められます。妊娠前に糖尿病の診断を受けている方は、妊娠前から血糖を厳密に管理することが推奨され、HbA1c値が6.5%未満が目安とされています。
妊娠後も、以下のように厳密な血糖管理が推奨されます。
※日本糖尿病学会ガイドライン2019でも同様の血糖上限値が推奨されています。

下限(mg/dl)※ 上限(mg/dl)※
空腹時 70 95
食後1時間 110 140
食後2時間 100 120

※この管理基準は、母体と胎児の安全を考慮して設定されており、特にインスリン治療を行う場合に適用されます。

高血糖が及ぼす影響と管理方針

母体の血糖値が高い状態が続くと、以下のようなリスクが高まると報告されています。

母体

早産、流産、羊水過多、帝王切開のリスク、妊娠高血圧症候群、腎症や網膜症の悪化

胎児

先天異常、巨大児、胎児死亡、分娩時外傷、新生児低血糖

当院では、最新の研究成果やガイドラインに基づき、米国および日本の糖尿病学会が推奨する血糖管理の目標を設定し、低血糖に注意しながらインスリン治療を行っています。

インスリン治療

妊娠中に使用するインスリンは、胎児に対して安全性が確認されたものを使用します。基礎的なインスリン分泌を補うためには持効型インスリンを、食後の血糖値上昇を抑えるためには速効型インスリンを使用します。最新の研究に基づき、最適な治療を提供しています。

血糖自己測定(SMBG)と
持続血糖測定(CGM)

インスリン治療を行う場合、血糖管理をより良好にするために、自己血糖測定(SMBG)や持続血糖測定(CGM)を併用することが推奨されます。特に、1型糖尿病の場合、CGMの使用により母体の血糖管理が改善し、新生児のリスクを減少させることが報告されています。
当院では、インスリン治療を受けるすべての皆さまに対して、最新の技術を活用した血糖管理を推進しています。

低血糖症

低血糖症の原因で最も一般的なのは、糖尿病治療や自己管理の不適切さです。血糖値を管理するための薬やインスリンの使い方、食事や運動のバランスが崩れると、低血糖が発生することがあります。
その他にも、以下のような要因で低血糖が生じることがあります。

  • アルコールの大量摂取
  • 栄養不足や飢餓状態
  • 胃の一部を切除した後
  • インスリン抵抗性による食後の過剰なインスリン分泌
  • インスリンを過剰に産生する腫瘍
  • 副腎不全

当クリニックでは、これらの様々な原因を考慮し、必要に応じて詳しい鑑別診断を行います。皆さま一人ひとりに合わせた適切な治療や対処法を提供し、生活の質を向上させるお手伝いをいたします。

メタボリック症候群

メタボリック症候群は、生活習慣の乱れや運動不足によって引き起こされる病態の一つで、内臓脂肪型肥満を基盤とし、血圧が高い、高血糖、脂質異常(中性脂肪が高い・HDLコレステロールが低い)といった複数のリスク要因が重なった状態を指します。一般的に「メタボ」と略されることもあり、厚生労働省が行っている特定健康診査(いわゆるメタボ健診)でも重点的にチェックされています。

メタボリック症候群の診断基準の手順

  • まず、内臓脂肪型肥満の確認のためウエスト周囲径(腹囲)を測定します。男性85cm以上、女性90cm以上なら次の項目を確認します。
  • 血圧高値・脂質異常・高血糖の3つの項目のうち、2つ以上が該当する場合に診断されます。

内臓脂肪型肥満(必須条件)

ウエスト周囲径(おへその高さで測定した腹囲)が以下の基準値以上の場合、内臓脂肪型肥満と判断されます。

  • 男性:85cm以上
  • 女性:90cm以上

※ 体格や筋肉量の影響を受けることがあるため、正確な判断には医師の診断が必要です。

血圧高値

次のいずれかまたは両方に該当する場合、高血圧高値と判断されます。

  • 収縮期血圧(上の血圧):130mmHg以上
  • 拡張期血圧(下の血圧):85mmHg以上

脂肪異常

次のいずれかまたは両方に該当する場合、脂質異常があると判断されます。

  • 中性脂肪(TG):150mg/dL以上
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール):40mg/dL未満

高血糖

以下の場合、高血糖があると判断されます。

  • 空腹時血糖値:110mg/dL以上

一つ一つの異常は軽度でも、内臓脂肪型肥満を放置するとこれらが複数重なることになり心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。

福島県の現状

福島県では、メタボリック症候群が原因で引き起こされる病気が、住民の健康に大きな影響を及ぼしていると言われています。県内のデータによると、特定健康診査でのメタボ該当者やその予備軍の割合は全国平均より高い傾向が見られます。特に50歳代の中高年層男性や、70才以上の高齢女性で注意が必要とされています。
さらに、震災以降の生活環境の変化やストレス、運動不足なども一因となり、生活習慣病全般の悪化が指摘されています。地域に根ざした健康づくりの取り組みは進んでいますが、個々の生活習慣改善に向けた啓発活動が求められています。

メタボリック症候群の対策

メタボリック症候群は、生活習慣の改善によって予防・改善が可能です。具体的には以下のような対策が効果的です。

1バランスの良い食事

野菜を多く取り入れ、塩分、糖分や脂肪に偏った食生活にならないよう心がけましょう。

■特に控えたい4つの食品
①トランス脂肪酸(マーガリン/ショートニング/ファットスプレット)
②砂糖
③果糖(果汁)
④塩分の多い食品(漬物/汁物/干物)

トランス脂肪酸は菓子、総菜パン、加工食品に多く含まれ、世界的に死亡率上昇や動脈硬化症との関連が報告されています。砂糖や果糖(果汁)の入った飲料は特に若年層の肥満の原因になっています。赤肉や加工肉(ソーセージ/サラミ/コンビーフなど)は控えめにして大豆や魚介類などの栄養価の高いたんぱく質をしっかり摂取しましょう。福島県は伝統的に漬物、汁物、干物など塩分の多い食品が多い傾向があるため、味付けに酢や出汁を使ったり薄めにしたりするなどの工夫が大切です。

2定期的な運動

ウォーキングや軽いジョギングなど軽い運動から始め、無理なく続けられる運動を取り入れましょう。1日30分が目標ですが、まとまった時間がない場合は細切れでも構いません。体調をみて少し強めの運動にチャレンジするのもよいでしょう?筋トレや歩き方など自己流の非効率な運動にならないように地域の運動教室やウォーキングイベントを活用するのも良い方法です。

3定期健診の受診

メタボリック症候群は脳卒中や心筋梗塞など重大な疾患を発症するまで基本的には無症状です。定期的な健康診断で自分の身体の状態を把握することで、メタボリック症候群を早期発見・早期する対策が重要です。特定保健指導を受けることも、生活習慣改善の大きな助けになります。

4地域ぐるみの健康づくり

福島県では、「健康福島21」などの県の健康推進活動が展開されています。地元の保健所やクリニック、自治体のイベントを活用し、健康情報を積極的に取り入れましょう。
【参考サイト】第三次健康ふくしま21計画 – 福島県ホームページ

最後に

メタボリック症候群は、放置すると命に関わる病気につながる可能性がありますが、早めに対策を行えば改善することが可能です。当クリニックでは、個々の生活スタイルに合った具体的な改善方法をご提案します。お気軽にご相談ください。あなたの健康づくりを一緒にサポートします!

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