2型糖尿病の心血管疾患リスクに対する経口セマグルチド(リベルサス)の効果:SOUL試験概要
McGuire D.K. et al. N Engl J Med. 2025;392(20):2001-2012
今回は最近発表されたばかりのSOUL試験の概要をまとめてみます。
この試験では、当クリニックでも良く処方される経口セマグルチド(商品名:リベルサス)が心血管疾患リスクの高い2型糖尿病を持つ方の心筋梗塞や下肢虚血(えそ)などの心血管疾患発症数を減少させる可能性を報告しています。
♦試験の目的は?
2型糖尿病で心血管リスクが高い方において、注射タイプのGLP-1受容体作動薬(例:オゼンピック)は心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)を減らすことが知られています。
この試験では、「経口タイプのセマグルチド」にも同じような効果があるかを調べました。
♦どんな方法で行われた?
· 対象者:2型糖尿病で、心血管疾患や慢性腎臓病の既往がある成人(合計 9650人)
· 比較:
o 経口セマグルチド(最大14mg/日)
o プラセボ(偽薬)
· 標準治療に追加して服用
· 追跡期間:平均 約4年間
· 主な評価項目:
「心血管死」「非致死性の心筋梗塞」「非致死性の脳卒中」からなる主要心血管
イベントの発生率
♦試験結果は?
<主要心血管イベントの発生率>
· 経口セマグルチド群:12.0%
· プラセボ群:13.8%
· 相対リスクを14%減少(ハザード比 0.86、P=0.006)
<重篤な副作用の発生率>
· 経口セマグルチド群の方がわずかに低い(47.9% vs 50.3%)
⚠一方で、胃腸障害(吐き気・下痢など)はセマグルチド群で多かったことが報告されています。
♦注意点・限界
· 対象者の多くが肥満例で心血管疾患や腎疾患を持つ方だったため、すべての2型糖尿
病を持つ方にそのまま当てはめることはできません。
· 参加者の大半が白人・男性でアジア人は全体の23%ほどであった。
♦まとめ(結論)
2型糖尿病で心血管疾患や腎疾患を持つ方において、経口セマグルチドを使用すると重大な心血管疾患の発症リスクが有意に低下しました。
また、副作用の増加を伴わずにこの効果が得られた点が注目されています。
当クリニックでは、心血管疾患や腎疾患の有無、年齢、生活背景など個々の病状を総合的に判断し、経口セマグルチドの処方をご提案しています。