肥満症と糖尿病 ~ 健康寿命を延ばすために大切なこと~
日本では平均寿命が世界トップクラスですが、健康寿命(介護や支援を受けずに自立して生活できる期間)は平均寿命より短いのが現実です。
下図は、厚生労働省のまとめた日本における平均寿命と健康寿命の推移(2001年〜2016年) を男女別に示しています。
男性
- 平均寿命は 2001年 78.07歳 → 2016年 80.98歳 と約2.9歳延びています。
- 健康寿命も 2001年 69.40歳 → 2016年 72.14歳 と約2.7歳延びています。
- しかし、平均寿命と健康寿命の差は約8〜9年のままであり、この期間は日常生活に制限を抱えながら過ごしていることを意味します。
女性
- 平均寿命は 2001年 84.93歳 → 2016年 87.14歳 と約2.2歳延びています。
- 健康寿命は 2001年 72.65歳 → 2016年 74.79歳と約2.1歳延びています。
- 差は約12年 と男性より大きく、女性は長生きする一方で、生活に制限のある期間がより長い傾向が続いており改善の兆しが見えません。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html)

特に 肥満症を合併した2型糖尿病 の方は、合併症や生活機能の低下によって健康寿命が短くなるリスクが高いことが知られています。
糖尿病における血糖管理と健康寿命
糖尿病では、血糖を適切に管理することがとても大切です。血糖コントロールが不十分だと、網膜症・腎症・神経障害などの細小血管合併症が進行し、失明や透析、歩行障害につながります。これらは直接的に健康寿命を縮める要因になります。
一方で、血糖管理にばかり目が行き一部の糖尿病治療薬によって体重増加や過度な血糖降下(低血糖)を招いてしまうと、高齢者では転倒や認知機能低下のリスクを高めます。そのため、安全で持続可能な血糖管理が健康寿命延伸のカギとなります。
肥満症と健康寿命の深い関係
肥満症は糖尿病を悪化させる大きな要因であり、インスリン抵抗性を強めます。それだけでなく、高血圧・脂質異常症・心血管疾患・脳卒中・脂肪肝・睡眠時無呼吸症候群・変形性関節症など、多くの生活習慣病を引き起こします。
近年の研究では、体重減少が血糖値改善に加え、心血管疾患や死亡率の低下、生活の質(QOL)の向上に直結することが示されています。
つまり、肥満症の改善は糖尿病の治療と健康寿命延伸の両方に直結する「根本的な対策」 なのです。
健康寿命を延ばすための実践ポイント
- 血糖管理:合併症を防ぎ、生活の質を守る
- 肥満管理:肥満を悪化させない適切な治療薬の選択と糖尿病をはじめとした生活習慣病のリスクを包括的に下げる
- 両輪での取り組み:血糖と体重を同時に整えることで、より大きな健康寿命改善効果が期待できる
当クリニックの取り組み
すぎもと内科・糖尿病内科クリニックでは、「肥満症と糖尿病の一体的な管理」 を重視しています。
- 血糖値のコントロールだけでなく、体重減少を目指す治療
- 食事・運動習慣の見直しとサポート
- 最新の薬物療法(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬 など)の活用
を組み合わせることで、皆さまの 健康寿命を延ばすサポートを行っています。
まとめ
- 血糖管理 は糖尿病の合併症予防に欠かせない
- 肥満症の改善 は糖尿病の根本治療と健康寿命延伸の両方に有効
- 血糖管理だけでなく両方をバランスよく実践することが、長く元気に生活するための最善策
(文責:杉本一博)