【NEW】ED(勃起不全)は「からだの危険信号」~ 心臓・糖尿病・こころの健康と深く関係しています ~
「最近、勃起しにくい…」
実はこの変化、単なる年齢のせいや気のせいではないかもしれません。
近年の医学研究では、ED(勃起不全)は“体からの早期警告サイン”であり、
👉 心臓病
👉 糖尿病・メタボ
👉 うつ・不安などのこころの不調
と深く関係していることがわかってきました。
専門家はEDを、
「炭鉱のカナリア(危険を最初に知らせる存在)」
にたとえています。
なぜEDが「先に」現れるのか?
勃起は、実はとても繊細な現象です。
- ペニスの血管は心臓の血管の約半分の太さ
- 勃起時には血流が一気に100倍以上に増える必要がある
そのため、血管が少しでも傷むと、まずEDとして現れやすいのです。
実際、研究では
👉 心筋梗塞や狭心症を起こした男性の多くが
👉 約3年前からEDを自覚していた
ことが示されています。
つまりEDは、「心臓病が起こる数年前のサイン」になりうるのです。
EDと心臓病は“同じ原因”を持っています
EDと心血管疾患は、以下の共通した危険因子を持っています(Biomedicines. 2021;9(4):432)。
- 🚬 喫煙
- 🏃♂️ 運動不足
- 🍔 食生活の乱れ
- 🍺 過度の飲酒
- ⚖️ 肥満・メタボ
- 🩺 高血圧・脂質異常症・糖尿病
これらはすべて、血管の炎症・動脈硬化を進めます。
EDは糖尿病・メタボの重要なサイン
◎ 糖尿病男性の約3人に2人がED
糖尿病では、
- 高血糖による血管障害
- 神経障害
- 男性ホルモン(テストステロン)低下
が重なり、EDが早く・重く出やすくなります。
◎EDから糖尿病が見つかることも
EDをきっかけに調べてみたら、 実は糖尿病やホルモン異常が隠れていた
というケースも少なくありません。
ストレス・不安・うつもEDに影響します
強いストレスが続くと、
- コルチゾール(ストレスホルモン)
- エンドルフィン
が増え、性ホルモンの働きが抑えられます(Psychoneuroendocrinology. 2024:164:107004)。
その結果、
- 不安
- 抑うつ
- 自信喪失
がEDをさらに悪化させる悪循環に。
EDは高齢者だけでなく、
若い世代でも増えていることが問題視されています。
ED治療は「体全体の健康づくり」
① まずは生活習慣の改善
EDは、生活を見直す絶好のチャンスです。
- 禁煙
- 適度な運動
- 体重管理
- 食生活改善(豊富な野菜、青魚、全粒穀物)
- お酒を控える
これだけで、EDが改善する方も少なくありません。
② ED治療薬は「心臓に悪い」どころか、むしろ守っている?

この図は、
スウェーデンで行われた全国規模の研究の結果を示しています。
◎研究の対象は?
- 80歳未満の男性
- それまでに
👉 心筋梗塞
👉 心臓の血行再建術(カテーテル治療やバイパス手術)
👉 心不全による入院
いずれも経験していない人 - 対象人数:43,145人の男性
この人たちを追跡し(平均3.3年間)、
ED(勃起不全)治療薬(PDE5阻害薬)を使っている人と使っていない人で、
👉 心臓や血管の病気が「初めて」起こるリスク
を比較しました。
◎図は何を示しているの?
横軸は ハザード比(リスクの比) です。
- 1.0:リスクに差がない
- 1.0より左:リスクが低い
- 1.0より右:リスクが高い
◎結果を一言でいうと
👉 ED治療薬を使っている男性のほうが、心臓病や死亡のリスクが低かった
◎具体的にはどうだった?
ED治療薬を使用していた男性では、次のような結果が示されました。
- 心不全:発症リスクが低下
- 心筋梗塞:初回発症リスクが低下
- 主要心血管イベント(MACE):リスク低下
- 心血管死:リスク低下
- 全死亡:リスク低下
※ 非心血管死(がんなど心臓以外の死因)でも、大きな悪影響は認められませんでした。
◎どうしてこんな結果になるの?
ED治療薬(PDE5阻害薬)は、
- 血管を広げる
- 血流を改善する
- 血管の内側(内皮)の働きを良くする
といった作用があります。
EDは血管の病気の初期サインであることが多いため、
- EDを治療している人=
👉 血管の状態を改善している
👉 健康意識が高い
可能性もあります。
大切なポイント(誤解しないでください)
- この研究は
❌「ED治療薬を飲めば誰でも心臓病を防げる」という意味ではありません。 - しかし
✅ 少なくとも危険ではなく
✅ 心臓を守る可能性がある
ことを示しています。
かつて心配された「危険な薬」ではなく、
適切に使えば“体を守る薬”であることがわかってきました。
EDは「恥」ではなく「相談すべき症状」
EDは、
- からだ
- こころ
- 生活習慣
- パートナーとの関係
すべてが関係する、医学的な症状です。
「年のせい」「気のせい」と我慢せず、
早めに相談することで、将来の病気を防げる可能性があります。
まとめ
✅ EDは体からの重要な警告サイン
✅ 心臓病・糖尿病・うつと深く関連
✅ 生活改善+適切な治療で改善できる
✅ EDをきっかけに、健康寿命を延ばせる
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)