コレステロールは、早く下げるほど将来を守れる🫀~なぜ”早期のLDLコレステロール低下”が大切なのか~
■ 心臓病や脳卒中は、ある日突然起こります
心筋梗塞や脳卒中の多くは、
👉「高リスクと診断されていなかった人」に起こっています。
実際、初めて心筋梗塞を起こした方の多くは、事前に強い自覚症状がありませんでした。
これは、動脈硬化が
👉 何十年もかけて静かに進行する病気だからです。

🫀 図でわかる「心筋梗塞は“前触れなく”起こることが多い」
この図は、初めて心筋梗塞を起こした約465万人を対象に、
「発症前にどのような兆候や医療介入があったか」を調べた大規模研究の結果を示しています。
■ 研究のポイント(かんたんに)
- 対象:2017〜2022年に初回心筋梗塞を発症した方
- 人数:4,657,412人
- 年齢中央値:70歳
- 男性:58%
- 重症型(ST上昇型心筋梗塞):35%
🌱いちばん驚くべき結果
✔ 半数以上が「症状なし」
👉 51%の方は、心筋梗塞を起こす前に、症状の記録がありませんでした。
つまり、
「胸が痛い」「苦しい」といったわかりやすい前触れがないまま、突然発症した
というケースが約半数だったのです。
✔ 医療機関にかかっていなかった人も多い
- 22%:発症前に医師の受診歴がない
- 63%:予防薬(コレステロールを下げる薬など)を使っていなかった
👉 病院に通っていなかったため、
リスク評価や予防治療の機会がなかった可能性があります。
✔ 危険因子が「記録されていない」人も少なくない
- 18%の方では、
高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙などの
標準的な危険因子が記録されていませんでした。
これは、
- 実際に危険因子がなかった
- あるいは 評価されていなかった・見逃されていた
どちらの可能性も示唆します。
逆に、8割以上の方は、危険因子が記録されていたにもかかわらずその管理、治療が必要かつ十分になされていなかった可能性もあります。
🩺 この図が伝える大切なメッセージ
心筋梗塞は、
「症状がある人」「病院に通っている人」だけの病気ではありません。
- 自覚症状がなくても
- 医師にかかっていなくても
- 「まだ大丈夫」と思っていても
👉 ある日突然、命に関わる発作が起こり得ます。
🌟 だからこそ重要なのが「症状がないうちの予防」
この研究は、次のことを強く示しています。
- 症状が出てからでは遅い
- 発症前にリスクを見つけ、対策することが不可欠
- 特に
- LDLコレステロール
- 血圧
- 血糖
- 喫煙
といった 修正できる危険因子を早めに管理することが、
将来の心筋梗塞を防ぐカギになります。
■ LDLコレステロールは「下げられる原因」
動脈硬化を進める最大の原因のひとつが
LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)です。
重要なのは👇
- LDLは 体質だけでなく治療で下げられる
- 下げれば下げるほど
心筋梗塞・脳卒中・突然死が減る ことが、多くの研究で証明されています

📊 図で見る「LDLコレステロールを下げるほど、心血管イベントは減る」
この図は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)をどれだけ下げられたかと、
心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントがどれくらい減ったかの関係を示したものです。
世界中の多くの臨床試験をまとめて解析した、信頼性の高い研究結果です。
■ 図の横軸:LDLコレステロールを「どれだけ下げられたか」
- 横軸は、治療群と対照群で達成されたLDLコレステロール値の差を示しています
- 右に行くほど
👉 LDLコレステロールがより大きく低下したことを意味します - 参考:1.0 mmol/L ≒ 約39 mg/dL
■ 図の縦軸:心血管イベントの起こりやすさ
- 縦軸(左)は、主要心血管イベントの相対リスク
(心血管死、急性心筋梗塞、急性冠症候群、冠動脈の治療、脳卒中など) - 下に行くほど
👉 心血管イベントが起こりにくいことを示します - 右側の目盛りは、**どれだけリスクが減ったか(%)**を表しています
■ 点や線の意味
- 🔴 丸:一次予防試験
(まだ心筋梗塞や脳卒中を起こしていない人) - ■ 四角:二次予防試験
(すでに心筋梗塞などを経験した人) - マークが大きいほど
👉 その研究の規模も大きい - 実線:全体としての傾向
- 破線:その結果のばらつき(95%信頼区間)
🌱 この図からわかる、いちばん大切なこと
✔ LDLを下げた分だけ、リスクは直線的に下がる
この図では、
LDLコレステロールを多く下げるほど、心血管イベントが一直線に減っていくことが示されています。
- 「ここまで下げれば十分」という明確な下限は見られません
- 下げた分だけ、確実に利益が積み重なることがわかります
✔ まだ病気を起こしていない人でも効果がある
この効果は、
- すでに病気を経験した人(二次予防)だけでなく
- まだ心血管イベントを起こしていない人(一次予防)でも
同じように認められています。
👉 「予防の段階」からLDLを下げる意味があることを示す重要な証拠です。
🩺 図が伝えているメッセージ
LDLコレステロールは、
早く・大きく・長く下げるほど、将来の心筋梗塞や脳卒中を防げる。
症状が出てからではなく、
何も起きていない今こそが、いちばんの治療タイミングです。
■ 「今はまだ大丈夫」が、いちばん危ない
近年わかってきた大切な事実があります。
👉 「正常値だから安心」ではない
- 遺伝的に、LDLに弱い体質の人がいます
- 軽いLDL上昇でも、長年積み重なると大きなリスクになります
- 大人になってから治療を始めても、
すでに動脈硬化が進んでいることが少なくありません
■ ポイントは「どれだけ長く、どれだけ低く」
動脈硬化は、LDL × 時間(年数) の積み重ねで進みます。
つまり👇
- 若いうちから
- できるだけ低く
- 長く維持する
これが、将来の心臓病・脳卒中を防ぐ、いちばん確実な方法です
■ 最近の治療は、より安全・より確実に
現在は、
- 食事・運動療法
- コレステロールを下げる内服薬
- 必要に応じた新しい注射薬
を組み合わせて使うことで、
無理なく大きくLDLを下げられる時代になっています。
「少量から」「体に合う方法で」治療を進めることが可能です
■ まとめ(とても大切な一言)
コレステロール治療は
“今の数字”のためではなく、“10年後・20年後の命”を守るための治療です。
早めに対策を始めることで、
👉 将来の大きな病気を防げる可能性が高まります。
🩺当クリニックからのメッセージ
当クリニックでは
- 年齢
- 性
- 家族歴
- 生活習慣
- 血液検査(糖尿病や慢性腎臓病の有無)・必要に応じて画像検査(冠動脈石灰化や頚動脈プラークの有無)
を総合して、「あなたにとって最適なLDL目標」を一緒に考えます。
「まだ症状がない今」こそ、将来の健康を守るチャンスです。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)