何を食べるかより、何を選ぶか~健康的な食事の、いちばん大事な考え方~
健康のために
「これは体にいいですか?」
「これは食べちゃダメですか?」
外来でも、こんな質問をよく受けます。
でも、最近の栄養学が教えてくれる大切な視点は、少し違います
https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-lifestyle/lifes-essential-8
本当に大事なのは、“何を食べるか”よりも、“何の代わりにそれを選ぶか” という考え方です。
まずは「はっきり健康な食品」「はっきり不健康な食品」
栄養学の専門家の間で、ほぼ意見が一致している食品があります。
<とても健康的な食品>
- 全粒穀物(玄米・オートミール・ライ麦など)
- 果物(※糖度の高くないもの)
- 野菜
- 健康なたんぱく質(魚・大豆など)
※📝昔の果物(例:りんごやみかん)は糖度が低く酸っぱかったのですが、今は酸っぱい果物が減り糖度の高い甘い果物が市場に出回っています。これは糖度の高い果物ほど高く売れることとも関係している様です。太り気味の方が甘い果物を食べ過ぎると血糖値や中性脂肪が上昇したり脂肪肝が悪化したりすることも珍しくありません。果物は出来るだけ食物繊維が多く糖度が低い(安価な)ものを選ぶのが賢明と言えます。
<明らかに不健康な食品>
- 砂糖入り飲料
- 加工肉(ソーセージ、ベーコン、サラミなど)
- 超加工食品(スナック菓子、菓子パンなど)
この2つは、比較的わかりやすいですね。
問題は「その中間」にある食品
悩ましいのは、良いとも悪いとも言い切れない食品です。
チーズや卵は、その代表例です。
チーズは健康食品でしょうか?
答えは──
「何と比べるかによる」 です。
- ブロッコリーや魚の代わりにチーズを食べるなら
→ 健康度は下がります - 白いパン(特にショートニングなどトランス脂肪酸入り)、ソーダ、キャンディの代わりにチーズを選ぶなら
→ チーズのほうが良い選択 です
卵も同じです。
- 卵は「スーパーフード」ではありません
- でも「悪い食品」でもありません
卵は、甘いシリアル菓子よりは良い。でも、ヨーグルトやナッツよりは劣る。
白か黒かではなく、グレーの食品なのです。
「全脂肪 vs 低脂肪」論争の本質
前のコラム(「食べ方の常識が大きく変わる!?」https://www.sugimoto-cl.info/2026/01/13/1014/)でも紹介しましたが、最近話題の「全脂肪乳製品は健康なのか?」という議論も、実はこの「比較」の考え方で整理できます。
専門家の意見はこうです。
- 甘味付き低脂肪製品より、無糖の全脂肪製品のほうが良い
- すでに無糖の低脂肪乳製品を食べている人は、無理に変える必要はない
- 全脂肪のほうが好みなら、切り替えてもよい
つまり、
👉 全脂肪乳製品は「積極的に増やすもの」ではなく、「より不健康な食品の代わりに選ぶもの」
ここが重要なポイントです。
注意点:やはり「量」と「全体バランス」
全脂肪乳製品を多く摂ると、
飽和脂肪の摂取量が1日の目安(総カロリーの10%未満)を超えやすくなります。
特に、
- 肉類を多く食べる
- バターや牛脂を料理に多用する
こうした食生活が重なると、
「健康の計算」が合わなくなってしまいます。
また、全乳は腹持ちがよく、
チーズは腹囲の減少と関連するという研究もありますが、
カロリーが重要であることに変わりはありません。
もし全脂肪乳製品を増やすなら
専門家は、次のような実践的なアドバイスもしています。
- 全脂肪乳製品を増やした場合
👉 6か月後にコレステロール検査を - 食事だけでなく、
睡眠・運動・体重・血糖・血圧・禁煙も含めて考える
これは、米国心臓協会(American Heart Association) が提唱する
Life’s Essential 8(健康の8本柱)という考え方です。https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-lifestyle/lifes-essential-8
(以下Life’s Essential 8 より)
🫀 心臓と脳を守る、よりよい食べ方のコツ
🍽健康的な食習慣をつくる
1日を通してバランスよく食べましょう。
「特別なスーパーフード」は必要ありません。
いろいろな健康的な食品を組み合わせることが大切です。
🥗ヘルシープレートの基本

お皿の中をイメージしてみましょう。
✔ 野菜
✔ 果物
✔ 全粒穀物
✔ 良質なたんぱく質(大豆や魚介など無加工の自然食品)
✔ 健康的な油 (オリーブ油など)+ 水
😊積極的にとりたい食品(ENJOY)
- 野菜・果物(糖度の低いもの)
- 全粒穀物
- 豆類・ナッツ
- 植物性たんぱく(豆・レンズ豆など)
- 脂身の少ない動物性たんぱく(皮なし鶏肉、魚、魚介類、低脂肪乳製品)
- 水をしっかり飲む(無糖の紅茶やコーヒーもOK)
⚠控えめに(LIMIT)
- 砂糖入り飲料・アルコール
- 塩分の多い食品
- 脂肪の多い食品
- 加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)
- バター
- 全乳・全脂肪ヨーグルト・チーズ
- 鶏肉は皮を取り除く
- ココナッツ油・パーム油の代わりに
👉 オリーブ油・キャノーラ油・アボカド油を使用
❌避けましょう(AVOID)
トランス脂肪酸
(市販の焼き菓子や揚げ物に含まれることがあります)
(「食べ方の常識が大きく変わる!?」:https://www.sugimoto-cl.info/2026/01/13/1014)も参照ください。
🏷栄養表示を読みましょう
食品ラベルを見る習慣をつけましょう。
💡できるだけ以下が少ない〜含まれない食品を選びましょう!
✔ 食塩
✔ 飽和脂肪・トランス脂肪(ショートニング・ファットスプレッド・マーガリン)
✔ 砂糖・果糖
これらを避けることが健康への近道です。
🍳 成功のためのヒント
👀食べる量に注意
さまざまな食品群を、適量ずつ。
🏠家で料理する
外食より栄養バランスが整いやすい。
冷凍・缶詰野菜/魚介もOK(砂糖・塩無添加を選びましょう)。
🫀 健康は「食事だけ」ではありません
アメリカ心臓協会が提唱する
Life’s Essential 8
https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-lifestyle/lifes-essential-8

- 食事
- 運動
- 睡眠
- 体重
- 血糖
- 血圧
- コレステロール
- 禁煙
これらをバランスよく整えることが、心血管病予防につながります。
🎯 大切なポイント
✔ 完璧を目指さなくて大丈夫
✔ 少しずつ改善すればOK
✔ 今日の1回の食事から始めましょう
結論:健康は「一点突破」では決まらない
研究が示しているのは、とてもシンプルな事実です。
食事・運動・睡眠・体重・血糖・血圧・コレステロール・禁煙
これらが総合的に整っている人ほど、心血管疾患は少ない
つまり、
「この食品1つで健康になれる」「これ1つが悪者」
そんな単純な話ではないのです。
最後に
健康的な食事とは、完璧な食品を探すことではありません。
その場その場で、
「今、何の代わりにそれを選ぶのか」を意識すること。
それだけで、
食事はずっと現実的で、続けやすく、そして健康的になります。
無理なく、賢く、選んでいきましょう。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)