2型糖尿病高齢者でのメトホルミン服用と認知症リスク軽減について
メトホルミンは60年以上も前から2型糖尿病の治療に使用されている薬ですが、
今でもその新しい作用の可能性が報告され続けています。
今回紹介する最近の研究では、2型糖尿病高齢者(60歳以上)がメトホルミンを服用することで認知症の発症リスクが低減する可能性が示されています(Sun M. et al. Brain. 2024;147(4):1474-1482)。
研究の概要:
この研究では台湾の医療データベースを使用して、2008年から2018年の間にメトホルミンを服用していた2型糖尿病高齢者と一度も服用していなかった高齢者の認知症リスクを比較しました。観察期間は2021年末まで延長されました。その結果、メトホルミンを使用している高齢者は、使用していない高齢者と比べて認知症のリスクが大幅に低いことが分かりました(下図)。

特に、メトホルミンの服用量が多いほど、認知症のリスクがさらに低くなるという「用量依存性」の関係が明らかになりました。つまり、メトホルミンを1日1回以上服用している高齢者は服用していない高齢者よりも認知症リスクが低く、より多く服用するほどリスクがさらに低減する傾向が見られました(下図)。

結果:
メトホルミンを服用している2型糖尿病高齢者は、服用していない2型糖尿病高齢者と比べて認知症の発症率が低い(発症率の比率は0.39、服用していない患者の約40%のリスク)。
メトホルミンを1日1回以上服用し日々の服用量が多いほど、認知症のリスクが顕著に減少した。
重要なポイント:
メトホルミンの用量依存性:服用量が多いほど、認知症のリスクが減少することが確認されました。
2型糖尿病高齢者における保護効果:メトホルミンは2型糖尿病による認知症のリスクを軽減する可能性があり、高齢者にとって特に有益な治療法となるかもしれません。
今後の研究の方向性:
この研究は観察研究であり、さらなる臨床試験が必要です。特に、メトホルミンがどのように認知症リスクを軽減するのか、そのメカニズムを明らかにすることが求められます。また、メトホルミンの長期的な使用による副作用についても、引き続き検討する必要があります。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック院長 杉本一博)