【NEW】意外に多い糖尿病診断ミス!~2型と思われていた方の4%が実は1型~
糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。
一般には、
1型糖尿病
👉 インスリンを作る細胞が壊れる病気(自己免疫に関係)
2型糖尿病
👉 インスリンが効きにくくなり血糖が上がる病気(生活習慣に関係)
と説明されます。
🧠 3秒で理解するポイント
| 1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
| 原因 | 自己免疫で膵臓のβ細胞が破壊 | インスリン抵抗性±分泌低下 |
| インスリン | ほとんど作れない | 最初は作れるが効きにくい |
| 発症 | 子ども〜成人まで | 主に成人 |
| 体型 | 痩せても肥満でも起こる | 肥満が多いが必須ではない |
| 治療の基本 | インスリン治療が必要 | 生活改善+内服薬±インスリン |
しかし実際の臨床では、この診断が必ずしも簡単ではないことが最近の研究から明らかになってきました。
実は少なくない「診断の変更」
2026年に報告された米国の大規模(RECLASS-T1D)研究では、
2型糖尿病と診断された人の約4%が、後に1型糖尿病へ診断変更されていたことが示されました。
解析対象は約340万人の2型糖尿病患者で、
そのうち約13万人が後に1型糖尿病と診断変更されていました。
つまり、
👉 25人に1人程度は最初の診断が異なっていた可能性がある
という結果です。
なぜ診断が難しいのでしょうか?
糖尿病の診断が難しくなる理由の一つは、
成人発症の1型糖尿病(緩徐進行1型糖尿病:海外ではLADA、日本ではSPIDDMと呼ばれます)が存在することです。
このタイプでは
- インスリン分泌の低下がゆっくり進む
- 最初は飲み薬で治療できる場合がある
ため、2型糖尿病と区別がつきにくいことがあります。
🧠 一目でわかる糖尿病のタイプ
| 1型糖尿病 | 緩徐進行1型(LADA/SPIDDM) | 2型糖尿病 | |
| 病気のタイプ | 自己免疫 | 自己免疫(ゆっくり進行) | 生活習慣+体質 |
| インスリン分泌 | ほぼ消失 | 徐々に低下 | 初期は保たれる |
| 発症年齢 | 小児〜成人 | 成人 | 成人 |
| 初期治療 | インスリン | 最初は内服薬でも治療可能なことも | 生活改善+内服 |
| 数年後 | インスリン必須 | 多くはインスリン必要 | 多くはインスリン不要 |
さらに今回の研究では、
- 年齢が若いほど診断変更が多い
- 血糖管理が不十分の場合が多い
- BMI(体格)では区別できない
ことも示されました。
| 年齢 | 診断変更率 |
| 18歳未満 | 7.0% |
| 18–35歳 | 4.4% |
| 35歳以上 | 1.8% |
| 項目 | 診断変更あり(誤診) | 診断変更なし |
| HbA1c | 8.3% | 7.1% |
| 年齢 | 49.8歳 | 57.8歳 |
| BMI | 31.1 | 31.5 |
つまり
「太っている=2型」
「痩せている=1型」
という単純な判断は必ずしも正しくないのです。
診断が遅れるとどうなるの?
1型糖尿病はインスリン治療が基本となる病気です。
もし診断が遅れると、
- 血糖コントロールの悪化
- 糖尿病ケトアシドーシス(重症の高血糖緊急症)
- 医療機関受診や入院の増加
などにつながる可能性があります。
実際、この研究でも診断変更された患者では入院や救急受診が多いことが報告されています。
| 医療利用 | 診断変更あり(誤診) | 診断変更なし |
| 医療利用あり | 66.4% | 38.5% |
| 入院 | 18.5% | 11.6% |
| 外来受診 | 42.4% | 27.3% |
| 救急受診 | 13.8% | 6.4% |
当クリニックの取り組み
糖尿病は一度診断したら終わりではなく、経過の中で病態を見直すことが重要です。
当クリニックでは
- インスリン分泌能の評価(Cペプチドなど)
- 必要に応じた自己抗体検査
- 治療反応の定期的な確認
を行い、
1型・2型・緩徐1型の見極めを定期的に行い診断の遅れを防ぎながら、その方に最も適した治療法を選択できるよう検査体制を整えています。
糖尿病は一人ひとりで病態が異なります。また、診断が見逃されている場合もあり得ます。
当クリニックでは、「本当にその診断でよいのか」も含めて丁寧に評価し、最適な治療を提案することを大切にしています。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本)