あなたは肥満?それとも肥満症?~医師がわかりやすく解説【BMIだけではわからない肥満の新しい考え方】~
健康診断で「肥満」と言われたことはありませんか?
実は日本では医学的に
「肥満」と「肥満症」は違う意味を持つ言葉です。
この違いを知ることは、健康を考えるうえでとても大切です。
肥満とは
肥満とは、体脂肪が多い状態を指します。
日本では一般的に
BMI(体重kg ÷ 身長m²)25以上
が肥満と定義されています。
ただし、肥満であっても
必ずしも治療が必要とは限りません。
肥満症とは
肥満症とは
肥満によって健康障害が起きている、または起こるリスクが高い状態
を指します。
代表的なものとして
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 脂肪肝
- 睡眠時無呼吸症候群
- 心筋梗塞・脳卒中
などがあります。
つまり
肥満=体重の状態
肥満症=治療が必要な病気
という違いがあります。
世界では「肥満」の考え方が変わりつつあります
— 欧州肥満学会(EASO)の新しい肥満診断 —
近年、肥満の考え方は世界的に変わりつつあります。

2024年に
European Association for the Study of Obesity(EASO:欧州肥満学会)
は、成人肥満の診断・重症度分類・治療のための新しい枠組みを示しました。
この考え方では
肥満は単に体重やBMIの問題ではなく、「脂肪組織による慢性疾患」
として捉えられています。
日本とEASOの考え方の違い

日本では一般的に
BMI 25以上=肥満
と定義されます。
一方、EASOの考え方では
太っているだけでは「肥満(疾患)obesity」とは分類されません。
肥満と診断されるのは次のような場合です。
① BMI30以上
または
② BMI25以上+健康への影響
具体的には
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 脂肪肝
などの 医学的問題
または
- 身体機能の低下
- 運動制限
- 日常生活の障害
さらに
- うつ
- 気分障害
- 心理的問題
といった メンタル面の影響 も重要な診断要素として考えられています。
医学・身体機能・メンタルの3つの視点
EASOでは肥満を評価する際に、次の 3つの領域 を重視しています。
医学的領域
糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝など
身体機能領域
運動能力の低下、関節痛、生活機能低下
精神・心理領域
うつ、気分障害、自己評価の低下など
つまり
体重だけではなく、健康や生活への影響を総合的に評価する
という考え方です。
世界の流れ 「肥満=体重」から「肥満=慢性疾患」へ
現在、世界では
肥満は慢性疾患であり、医学的に治療すべき病気
という考え方が広がっています。
そのため
- 生活習慣の改善
- 栄養管理
- 薬物治療
- 行動療法
などを組み合わせた治療が重要視されています。
新しい肥満症治療薬
近年、肥満症治療は大きく進歩しています。
代表的な薬剤が
ウゴービ(セマグルチド)
ゼップバウンド(チルゼパチド)
です。
これらは
食欲を調整するホルモンに作用する薬で
- 食欲を抑える
- 満腹感を持続させる
- 体重減少をサポートする
といった作用があります。
海外の臨床試験では、体重の約15〜20%の減量が報告されています。
※効果には個人差があります。
郡山市で肥満症治療をご検討の方へ
すぎもと内科・糖尿病内科クリニックでは
肥満症専門医による肥満症治療を行っています。
ウゴービ・ゼップバウンドなどの治療について
最近では 毎週のようにご相談が増えている状況です。
当クリニックでは
- 薬だけに頼らない治療
- 食事・運動を含めた生活習慣改善
- 安全性を重視した管理
を大切にしています。
肥満症は、見た目の問題ではなく健康の問題です。
医学的な体重管理について気になる方はお気軽にご相談ください。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック 杉本一博)