🟥ビタミンD不足と糖尿病リスク~背景にある「肥満」「魚離れ」「野外活動減少」~
「ビタミンD」と聞くと、
👉 骨
👉 カルシウム
👉 骨粗鬆症
を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし近年、
🟧ビタミンD不足は“糖尿病”とも関連する可能性
が世界的に注目されています。
そしてその背景には、
- 肥満
- 魚離れ
- 野外活動減少(屋内化)
という、現代社会のライフスタイル変化があります。
🟧 ビタミンDとは?
Vitamin D3(ビタミンD3)は、
☀️ 日光
🐟 魚
🥚 卵
などから得られる脂溶性ビタミンです。
体内では、
- 骨
- 筋肉
- 免疫
- インスリン分泌
などに関与しています。
🟥 実は日本人で非常に多い「ビタミンD不足」
日本人成人では、約50〜80%でビタミンD不足がみられると報告されています。
特に:
- 冬季
- 若年女性
- 高齢者
- 肥満
で頻度が高いことが知られています。
🟧 なぜビタミンD不足が増えている?
① 肥満
実は肥満では、
🟧 ビタミンDが脂肪組織に取り込まれやすく、
血液中の濃度が低下しやすいことが知られています。
つまり、肥満➡ビタミンD低下という関係が生じます。
さらに肥満そのものが:
- インスリン抵抗性
- 慢性炎症
を引き起こし、糖尿病リスクを高めます。
② 魚離れ
日本人の魚摂取量は減少しています。
水産庁によると、
日本の「食用魚介類の1人1年当たりの消費量は、2001年度の40.2kgをピークに減少傾向にあり、2023年度には21.4kgとなった」としています。


つまり、
🟥 約20年で40歳代中心に“ほぼ半減”しています。
しかし、魚は「ビタミンD」 「EPA/DHA」 「良質なたんぱく質」 の重要な供給源です。
特に:
| 🐟魚 | ビタミンD量(100gあたり) |
| サケ(紅鮭) | 約33 μg |
| イワシ | 約32 μg |
| サンマ | 約16–19 μg |
| サバ | 約5–11 μg |
| アジ | 約8–9 μg |
などにはビタミンDが豊富に含まれます。
近年の:
🟥 超加工食品増加
🟥 肉類摂取増加
🟥 魚離れ
は、ビタミンD不足とも関連している可能性があります。
③ 野外活動の減少
ビタミンDの最大の供給源は「日光」です。
しかし現代では:
- デスクワーク
- スマホ
- ゲーム
- リモート化
- 屋内生活
により、日光曝露が減少しています。
さらに、強い紫外線対策もビタミンD低下に影響すると考えられています。
🟧 ビタミンD不足を防ぐには、どのくらい日光に当たればよい?
ビタミンDは、紫外線(UVB)を浴びることで皮膚で合成されます。
そのため、「どのくらい日光を浴びればよいですか☀️?」という質問をよく受けます。
日本の研究(国立環境研究所など)では、日常生活レベルでは以下が目安とされています。
研究では:
- 顔+両手を露出
- 晴天
- 正午前後
という条件で解析しています。
代表例:
| 地域 | 7月正午頃 | 12月正午頃 |
| つくば(東京近似) | 約3.5分 | 約22分 |
| 札幌 | 約4.6分 | 約76分 |
| 那覇 | 約2.9分 | 約7.5分 |
🟧地域・季節でかなり異なります
| 条件 | 目安時間 |
| 夏・晴天 | 数分〜10分程度 |
| 春・秋 | 10〜30分程度 |
| 冬 | 30分〜1時間以上 |
| 北日本の冬 | 合成がかなり困難 |
🟥ただし「長時間の日焼け」を勧めるものではありません
紫外線の浴びすぎは:
- 皮膚老化
- シミ
- 皮膚癌
リスクにつながるため、「短時間を継続的に」が基本です。
🟩 実際には“生活全体”が重要です
ビタミンDは、日光だけではなく、
- 魚摂取
- 肥満
- 運動
- 屋外活動
とも深く関係しています。
そのため、
・ 散歩
・ 軽い運動
・ 買い物
などで外に出る習慣も大切です。
🟥 ビタミンDと糖尿病の関係
近年の研究では:
🟧 ビタミンD不足と2型糖尿病発症リスクとの関連が多数報告されています。
ビタミンD受容体(VDR)は:
- 膵β細胞
- インスリン分泌
- インスリン抵抗性
に関与しています。
つまり、ビタミンD不足が:
👉 インスリン分泌低下
👉 インスリン抵抗性悪化
に関係する可能性があります。
🟧 最新研究では「遺伝子」が関係?
最近、JAMA Network Open に掲載された研究では、
🟩 特定のビタミンD受容体遺伝子型を持つ糖尿病予備群の人では、
👉 高用量ビタミンD補充により
👉 糖尿病進行リスクが19%低下
した可能性が報告されました。
これは:
🟧 「同じ治療でも効く人と効かない人がいる」
という“個別化医療”の時代を示唆する研究として注目されています。
🟥 ただし「サプリ万能」ではありません
重要なのは、
🟥 ビタミンDサプリを飲めば糖尿病を防げると単純には言えないことです。
なぜなら:
- 肥満
- 運動不足
- 屋内生活
- 食生活悪化 (魚離れ)
そのものが、 「ビタミンD低下」と「糖尿病リスク増加」とを結びつけている可能性があるからです。
つまり、“生活全体”が重要なのです。
🟧 当クリニックの考え方
当クリニックでは、HbA1cだけではなく以下を含めた“代謝全体”を重視しています。
✔ 体重
✔ 内臓脂肪
✔ 脂肪肝
✔ インスリン抵抗性
✔ 栄養状態
✔ 睡眠
など。
🟦 院長メッセージ
「糖尿病」は血糖だけの病気ではありません。
現代の:
- 食生活の変化(超加工食品への依存/魚離れ)
- 屋内化
- 運動不足
- 肥満
など社会全体の変化とも深く関係しています。
ビタミンD不足は、その“現代病のサイン”の1つなのかもしれません。
🟩 まとめ
✅ 日本ではビタミンD不足が非常に多い
✅ 背景には、「肥満」「魚離れ」「屋内生活」がある可能性
✅ ビタミンD不足と糖尿病リスクとの関連が注目されている
✅ ただしサプリだけではなく生活全体が重要
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)