糖尿病予備群の“危ないタイプ”とは?~ 研究によって分かってきた3つの高リスク群 ~
健康診断で、
「血糖値が少し高いですね」「糖尿病予備群です」
と言われたことはありませんか?
多くの場合、
「まだ糖尿病ではないから大丈夫」「しばらく様子を見ましょう」と言われます。
しかし近年の研究により、
⚠️ 糖尿病予備群の中にも“危ないタイプ”が存在することが分かってきました。
実際、糖尿病になる前から神経や腎臓、血管にダメージが始まっている人や、数年以内に糖尿病へ進行しやすい人がいることが明らかになっています。

■そもそも糖尿病予備群とは?
糖尿病予備群とは、
✅ 空腹時や食後血糖値がやや高い
または
✅ HbA1cがやや高い
状態です。
まだ糖尿病ではありませんが、将来的に糖尿病へ進行しやすいことが知られています。
令和6年「国民健康・栄養調査」の結果によると、
日本では、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,100万人に増加する一方、「糖尿病の可能性を否定できない者」、いわゆる糖尿病予備群は約700万人に減少しています。ただし、この減少は「予備群がすべて健康になった」ことを意味するとは限りません。高齢化により、糖尿病への悪化が早まっている可能性や、HbA1cだけでは拾いきれない高リスク者(“危ないタイプ”)が含まれていない可能性もあります。

- 「糖尿病が強く疑われる者」の判定:
ヘモグロビンA1c(NGSP)の値が6.5%以上、または、現在糖尿病治療中の者 - 「糖尿病の可能性を否定できない者」の判定:
ヘモグロビンA1c(NGSP)値が6.0%以上、6.5%未満で、“糖尿病が強く疑われる者”以外の者
出典:「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」P.13(厚生労働省)
■「予備群」は一つではなかった
2021年にNature Medicine誌に発表された研究では、予備群の人を詳しく調べると6つのタイプに分けられることが示されました。
| タイプ | 患者向け名称 |
| 1 | 🟢 平均的なタイプ |
| 2 | 🟢 スリムで糖尿病になりにくいタイプ |
| 3 | 🔵 インスリンを作る力が弱いタイプ |
| 4 | 🟡 太っていても比較的健康なタイプ |
| 5 | 🔴 脂肪肝で最も糖尿病になりやすいタイプ |
| 6 | 🟠 内臓肥満で腎臓や血管に注意が必要なタイプ |
<より詳しい表解説>

その中でも特に注意が必要なのが次の3タイプです。
🔴 危ないタイプ①「脂肪肝・インスリン抵抗性型」
<こんな方に多い>
🫃 お腹まわりが大きい
⚖️ 肥満がある
🟠 脂肪肝を指摘されている
📈 中性脂肪が高い
<体の中で起きていること>
インスリンはたくさん出ているのに、🚫効きが悪くなっています。
その結果、膵臓に大きな負担がかかり、糖尿病へ進行しやすくなります。
<リスク>
⚠️ 糖尿病への進行リスクが最も高い
⚠️ 脂肪肝の進行
⚠️ 心筋梗塞や脳卒中のリスク増加
<対策>
🏃 体重減少
🥗 食事改善
🚶 運動習慣 が基本です。
さらに近年は、
💉 GLP-1受容体作動薬
💉 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)
などによる減量治療にも注目が集まっています。
🔵 危ないタイプ②「インスリン分泌低下型」
<こんな方に多い>
👨👩👧 ご家族に糖尿病の方がいる
⚖️ 強い肥満がない
<体の中で起きていること>
血糖値を下げるインスリンを十分に作れなくなり、血糖値が上昇しやすくなります。
<リスク>
⚠️ 徐々に血糖値が上昇
⚠️ 糖尿病へ進行
<対策>
🍚 適切な食事
🏃 定期的な運動(筋トレを含む) が基本です。
若い世代やHbA1cが高めの方では、早い段階からの介入が重要と考えられています。
🟢 危ないタイプ③「内臓肥満・臓器障害リスク型」
<こんな方に多い>
🫃 内臓脂肪が多い
🩺強いインスリン抵抗性と高インスリン血症
📈 微量アルブミン尿(尿タンパクの一種で腎血管障害のマーカー)
<意外な特徴>
このタイプは、糖尿病になるスピードはそれほど速くありません。
しかし、糖尿病になる前から
🫘 腎臓
🫀 血管
にダメージが始まっている可能性があります。
<リスク>
⚠️ 微量アルブミン尿
⚠️ 慢性腎臓病
⚠️ 死亡リスク上昇
<対策>
体重管理や生活習慣改善に加え、
近年は💊 SGLT2阻害薬による腎保護効果にも期待が集まっています。
🌱 それでも最も大切なのは生活習慣改善
ここまで薬のお話をしましたが、現時点で最も確実に効果が証明されているのは生活習慣改善です。
米国のDPP研究では、生活習慣改善により糖尿病発症リスクが58%低下しました。
中国のDa Qing Studyでは、
予備群の段階から生活習慣改善を行った人で、長期的な全死亡や心血管死亡の減少が報告されています。
📌 まとめ
| タイプ | 主な特徴 | 注意点 |
| 🔴 脂肪肝型 | 肥満・脂肪肝 | 糖尿病になりやすい |
| 🔵 分泌低下型 | あまり太っていない | 血糖値が徐々に上昇 |
| 🟠 内臓肥満型 | 内臓脂肪が多い | 腎臓や血管への影響 |
糖尿病予備群は一つではありません。
特に注意が必要なのは、
🔴 脂肪肝・高度インスリン抵抗性型→ 糖尿病になりやすい
🔵 インスリン分泌低下型→ 家族に糖尿病の人が多い
🟢 高インスリン血症・臓器障害型→ 腎臓や血管への影響が大きい
という3タイプです。
近い将来は、
💉 GLP-1受容体作動薬
💉 チルゼパチド
💊 SGLT2阻害薬
などを病態に応じて使い分ける「個別化予防医療」が進んでいくかもしれません。
健康診断で「糖尿病予備群」と言われたら、
❌「まだ病気ではないから大丈夫」ではなく、
⭕ 糖尿病になる前だからこそ、未来を変えることができる。
と考えてみましょう。
🏥 最後に
当クリニックでは糖尿病予備群の段階から、血糖値だけではなく、
- インスリン分泌・感受性
- 肥満症
- 脂肪肝
- 高血圧
- 脂質異常症
- 慢性腎臓病
- 神経障害
を総合的に評価し、将来の糖尿病や合併症の予防に取り組んでいます。
(文責:すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)