第一印象がもたらす医療不信 vs. 信頼~治療満足度・転帰への影響とは?~
受診者が初めて診察室に入ったとき、医療者がパソコンの画面を見たまま、検査結果や専門用語を一方的に説明する――。
反対に、医療者が顔を向けて挨拶し、診察中に次のように尋ねる。
「食事のことで、何か心配なことはありますか」
「お薬を続けるうえで、困っていることはありませんか」
このような最初のわずかな違いが、診療に対する安心感や満足度、その後の治療への取り組み方に影響する可能性があります。
米国退役軍人医療に携わった循環器医Haider Warraich氏は、受診者は医療者の話し方や振る舞いなどから、早い段階で信頼できる相手かどうかを判断していると述べています[1]。ただし、これは同氏の臨床経験に基づく論考であり、「第一印象が治療成績を直接決める」と証明した研究ではありません。第一印象は、長期的な信頼関係が始まる最初の接点と考えるのが適切です。
また、本稿は、当クリニックや院長がすでに十分な信頼を得ており、理想的な診療を実践できていると主張するものではありません。院長自身も、忙しい外来の限られた時間のなかで、説明を急ぐあまり受診者の話を十分に聴けなかったのではないか、生活上の困りごとを尋ねる余裕が足りなかったのではないかと、診療を振り返ることがたびたびあります。だからこそ、医療者への信頼について考えることは、受診者に信頼を求めるためではなく、医療者自身の診療姿勢を見直すために必要だと考えています。
■「生活習慣病」ではなく「生活環境病」
糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症などは、一般に「生活習慣病」と呼ばれています。しかし、この名称は、病気になった原因が本人の生活態度や自己管理だけにあるかのような印象を与えることがあります。
実際には、これらの病気の発症や治療経過には、体質や遺伝的背景だけでなく、家庭環境、仕事内容、勤務時間、経済状況、地域で入手できる食品、交通事情、睡眠、ストレス、服用している薬剤など、多くの要因が関係します。
米国糖尿病学会(ADA)の2026年版診療ガイドラインでも、糖尿病診療では、経済的負担、食料事情、医療へのアクセス、心理社会的問題など、治療行動に影響する障壁を把握し、糖尿病のある人と医療チームが協力して対応することが求められています[2]。
そのため当クリニックでは、本人の責任だけを強調しない表現として、「生活環境病」という名称を用いることを推奨しています。医療者がどのような言葉を選ぶかも、信頼関係に影響する重要な要素です。
■受診者は医学知識だけを見ているのではない
医療者への信頼には、少なくとも二つの側面があります。
一つは、「この医療者は必要な知識と技術を持ち、適切に診療してくれる」という専門的能力への信頼です。もう一つは、「自分の話をきちんと聴き、自分にとってよい方法を一緒に考えてくれる」という思いやりや善意への信頼です。
医師の共感性、医師への信頼、医師と受診者の関係性を調べた研究では、受診者が感じる医師の共感性は、医師が自分の利益を考えてくれているという「善意への信頼」や、医師―受診者関係の評価と強く関連していました[3]。
共感性、善意への信頼、能力への信頼は、医師―受診者関係とどう関連するか
同研究では、受診者2,256人の回答を用いて、医師―受診者関係、医師の共感性、医師への信頼の関連が分析されました。以下の表に示す相関係数(r)は、0に近いほど関連が弱く、1に近いほど正の関連が強いことを表します[3]。
表1 医師―受診者関係、医師の共感性、医師への信頼の相関
| 主要変数 | 平均値±標準偏差 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 1.医師―受診者関係 | 61.30±7.67 | 1.00 | ||||
| 2.医師の共感性 | 41.06±5.47 | 0.75** | 1.00 | |||
| 3.医師への総合的な信頼 | 36.41±4.67 | 0.65** | 0.64** | 1.00 | ||
| 4.医師の善意への信頼 | 18.79±2.43 | 0.70** | 0.68** | 0.90** | 1.00 | |
| 5.医師の能力への信頼 | 17.62±2.69 | 0.49** | 0.49** | 0.92** | 0.66** | 1.00 |
注:数値はPearsonの相関係数。** p<0.01。空欄は同じ組み合わせが重複するため省略。Wuら[3]をもとに作成。
<この表から読み取れること>
医師―受診者関係の評価と最も強い関連を示したのは「医師の共感性」でした。相関はr=0.75で、受診者が「自分の考えや気持ちを理解しようとしてくれている」と感じることが、関係性の評価と強く結びついていました。
「善意への信頼」も強く関連していました。医師が受診者の利益を考え、その人のために行動してくれるという信頼はr=0.70でした。一方、医学知識や診療技術に対する「能力への信頼」はr=0.49でした。能力への信頼が重要でないという意味ではありませんが、良好な関係には、専門性に加えて、共感や「自分を大切に考えてくれている」という感覚も深く関係している可能性があります。
ただし、この表は因果関係を証明するものではありません。同じ時点で受診者が回答した横断研究であり、共感性が信頼を高めたのか、信頼できると感じたため共感性も高く評価したのかは分かりません。また、糖尿病外来や第一印象だけを調べた研究でもありません。診療における共感、信頼、関係性が互いに密接に関連していることを示す資料として捉える必要があります。
医学的にどれほど正しい説明であっても、話を途中で遮る、目を合わせない、難しい言葉だけを使う、質問しにくい雰囲気をつくるといった対応が続けば、受診者は「自分のことを理解してもらえていない」と感じる可能性があります。一方、話を最後まで聴き、分かりやすい言葉で説明し、希望や生活上の事情を確認する姿勢は、医療者の誠実さを伝えます。信頼は、何を説明したかだけでなく、どのように説明したかによっても左右されます。
■医療者が使う言葉も治療の一部
糖尿病のある人を対象とした調査では、医療の場で使われる否定的・断定的な言葉によって、非難されているという感覚、不安、決めつけ、医療者との隔たりなどを経験したことが報告されています[4]。
例えば、次のような表現です。
「食事を守っていない」「自己管理ができていない」「治療に非協力的」
「コントロール不良」「不摂生が原因」
これらは医学的な状況を簡潔に示す目的で使われることがありますが、受診者には人格や努力を否定された言葉として伝わる可能性があります。
当クリニック院長が責任研究者を務めた「福島県における糖尿病スティグマとアドボカシー活動に関する実態調査(DiaSAAF調査)」では、福島県糖尿病協会の役員が所属する4施設の外来に通院中の糖尿病のある成人318名を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、糖尿病があることで第三者から「根拠のない差別や偏見」を受けていると感じた33名のうち、偏見・差別につながると感じた言葉として、22名が「糖尿病なんだから」、15名が「理解力が足りない」、13名が「生活習慣病」を挙げました(2025年第68回日本糖尿病学会年次学術集会で発表)。

米国糖尿病学会と米国糖尿病教育者協会による提言では、糖尿病診療において、非難や偏見を生まない、人を主体とした、協働を促す言葉を使用することが推奨されています[5]。ADAの2026年版診療ガイドラインでも、受診者中心で、本人の強みを生かす言葉と積極的傾聴を用いることが推奨されています[2]。
■信頼がなければ、正しい説明も届きにくい
糖尿病などの生活環境病では、治療が長期間にわたります。食事、身体活動、睡眠、体重管理、服薬、自己注射、血糖測定、定期検査など、日常生活のなかで継続しなければならないことも少なくありません。
しかし、医療者への信頼が十分に築かれていないと、次のように感じ、診療に必要な情報が医療者へ伝わらなくなることがあります。
「また食べ過ぎを叱られるのではないか」
「本当の食生活を話すと責められるのではないか」
「薬を飲み忘れたことを言いにくい」
「薬代が負担だと言い出せない」
「副作用があっても相談しにくい」
その結果、医療者は実際の生活状況を十分に把握できず、受診者にとって実行が難しい治療計画を提案してしまうかもしれません。
信頼があることは、受診者が医療者の指示に無条件で従うという意味ではありません。疑問や不安、治療を続けられなかった理由、生活上の事情について率直に話し、現実的な方法を一緒に検討できることが、信頼に基づく診療です。
■糖尿病でも信頼と自己効力感・治療継続との関連が報告されている
2型糖尿病のある成人480人を対象とした研究では、医師への信頼が高い人ほど、自分で治療を実行できるという自己効力感や、治療によってよい結果が得られるという期待が高く、医師への信頼はこれらを介して治療継続や治療結果と関連していました[6]。ただし、この研究は観察データに基づくため、医師への信頼を高めれば必ず血糖値が改善するという因果関係を証明したものではありません。
また、糖尿病のある9,377人を対象とした米国の研究では、意思決定への参加、治療上の問題への理解、本人の医療上のニーズの優先、かかりつけ医への信頼という4項目すべてで、評価が低い群は高い群より、糖尿病薬、脂質低下薬、降圧薬などの心血管・代謝関連薬を薬局で予定どおり受け取れていない割合(リフィル遵守不良)が高くなっていました。年齢や社会経済的要因などを調整した解析では、「意思決定への参加」「治療上の問題への理解」「かかりつけ医への信頼」の3項目で有意差が残りました[7]。これは薬局での処方薬の受け取り状況を示す指標であり、実際に服用したかどうかを直接測定したものではありません。

信頼や良好なコミュニケーションは、薬を直接効かせるものではありません。しかし、薬を続けにくい理由を相談し、治療内容を理解し、納得して実行するための重要な土台になると考えられます。
■「食べてはいけない」だけでは治療は続かない
糖尿病外来では、食事について話し合う機会が多くあります。しかし、医療者が検査値だけを見て、「食べ過ぎです」「もっと運動してください」「体重を減らしてください」と一方的に伝えるだけでは、受診者は責められたと感じることがあります。
同じ食事の問題でも、次のように尋ねることで、仕事、家族、睡眠、経済状況、ストレスなど、血糖値の背景にある生活環境が見えてきます。
「夕食が遅くなる日は、どのようなものを食べていますか」
「間食したくなるのは、どのような時間帯でしょうか」
「食事を変えるうえで、一番難しいことは何ですか」
糖尿病のある人が医療者から受けた言葉について調べた研究でも、一方的な指示や過度に単純化された説明は、医療者との隔たりを生む要因として挙げられています[4]。治療の目的は、受診者の生活を評価したり、非難したりすることではありません。現在の生活のなかで実行でき、長く続けられる方法を一緒に見つけることです。
■検査値が改善しないときこそ信頼が問われる
糖尿病治療を続けていても、HbA1cや体重が思うように改善しないことがあります。その際に医療者が、「努力が足りません」「きちんと守っていないからです」と決めつければ、受診者は診療への意欲を失い、本当の状況を話しにくくなる可能性があります。
血糖値が改善しない背景には、食事や運動だけでなく、糖尿病の病態の変化、インスリン分泌の低下、服薬の難しさ、副作用、睡眠不足、ストレス、勤務形態、経済的負担、他の病気や薬剤など、さまざまな要因があります[2]。
検査値が目標に届かなかったときこそ、医療者が「何か思い当たることや、心配なことはありませんか」「現在の治療で負担になっていることはありませんか」「今の治療と生活パターンとの間に、ずれはありませんか」と問いかけ、受診者と一緒に背景や対応を検討する必要があります。
■医療者の共感性と糖尿病の検査値
糖尿病のある人を診療する医師の共感性と臨床指標との関係を調べた研究では、共感性の評価が高い医師の診療を受けていた人は、共感性の評価が低い医師の診療を受けていた人より、HbA1cおよびLDLコレステロールが良好に管理されている割合が高かったと報告されています[8]。
表2 医師の共感性スコアとHbA1c・LDLコレステロールの管理状況
| 評価項目 | 共感性スコアが高い医師の診療を受けた人 | 共感性スコアが低い医師の診療を受けた人 | 統計学的有意差 |
| HbA1cが良好に 管理されていた割合 | 56% | 40% | P<0.001 |
| LDLコレステロールが良好に管理されていた割合 | 59% | 44% | P<0.001 |
医師と受診者の年齢・性別、および受診者の医療保険を調整したロジスティック回帰分析でも、医師の共感性は、HbA1cおよびLDLコレステロールが良好に管理されていることと独立して関連していました[8]。
ただし、この研究も観察研究です。共感性以外の診療能力、医療体制、受診者の背景などが結果に影響した可能性があり、「医師が共感的に接すれば、それだけでHbA1cが改善する」とは結論できません。それでも、医療者の共感性と糖尿病の検査値との関連を示した研究として注目されます。
■副作用についての説明も信頼を左右する
糖尿病治療薬では、薬剤によって低血糖、消化器症状、脱水、性器・尿路感染症などが起こることがあります。副作用の可能性を十分に説明せず、症状が現れた後も軽く扱えば、医療者や薬に対する信頼が低下する可能性があります。
歯科インプラント、人工関節、人工内耳などのインプラント治療を受けた人を対象とした研究では、有害事象の経験は医師への信頼の低さと関連していましたが、受診者中心の良好なコミュニケーションは、その悪影響を部分的に和らげていました[9]。これは糖尿病薬を対象とした研究ではないため、そのまま糖尿病外来へ当てはめることはできませんが、思わしくない結果や副作用が起きた際の説明が、信頼の維持に重要であることを示す参考になります。
糖尿病外来でも、どのような副作用が起こり得るのか、どの程度なら経過をみてよいのか、どのような場合に連絡すべきか、症状が出た場合に薬をどう調整するのかを、あらかじめ共有しておくことが大切です。
医療コミュニケーションと健康転帰を結ぶ理論モデルでは、良好なコミュニケーションによって理解、信頼、医療者と受診者の認識の一致が形成され、それらが治療継続や自己管理を介して健康状態に影響すると考えられています[10]。また、重症喘息を対象とした研究でも、医師への信頼と服薬に関する自己効力感が、薬に対する考え方と服薬継続との関係を媒介することが報告されています[11]。
■信頼度は、満足度や治療転帰にどの程度関係するのか
医療者への信頼と治療結果との関係については、数値による研究も報告されています。2017年に発表されたメタ解析では、さまざまな病気や診療環境を対象とした47研究、計34,817人のデータが統合されました[12]。
その結果、医療者への信頼と治療満足度との相関係数はr=0.57で、比較的強い関連が認められました。すべての転帰をまとめた関連はr=0.24、生活の質はr=0.18、自己管理や服薬などの健康行動はr=0.14、症状に関する評価はr=0.13でした[12]。相関係数rは、0に近いほど関連が弱く、絶対値が大きいほど関連が強いことを表します。
一方、HbA1c、血圧、BMIなど、検査や測定によって評価される客観的な治療指標との関連はr=-0.02で、統計学的に有意ではありませんでした[12]。

図1 医療者への信頼と各指標との関連。Birkhäuerらのメタ解析[12]をもとに作成。
このメタ解析からは、医療者への信頼が高い人ほど治療への満足度が高く、生活の質もやや良好であるという関連が示されています。信頼が高いだけでHbA1cや血圧が直接改善する、あるいは合併症が減少するとまでは結論できません。
また、このメタ解析に含まれた研究の多くは、ある一時点で信頼度と転帰を同時に調べた観察研究でした。治療結果が良好だったために医療者への信頼が高まったという、逆方向の可能性も否定できません[12]。
■糖尿病を対象とした縦断研究では
台湾の2型糖尿病のある成人614人を12か月追跡した研究では、医師への信頼が高いことは、その後の治療満足度、身体面の生活の質、血糖管理が良好であることと関連していました[13]。
別のメタ解析では、医師とのコミュニケーションが不十分な場合、良好な場合と比べて、受診者が治療計画を実行・継続できないリスクが19%高いことが示されました。また、医師がコミュニケーション研修を受けた研究では、研修を受けなかった場合と比べて、受診者が治療計画を実行・継続するオッズが1.62倍でした[14]。これは信頼そのものを評価した研究ではありませんが、医療者の話し方や聴く姿勢が、治療計画の実行・継続に影響し得ることを示すデータです。
ただし、前者は医療者への信頼を無作為に高めた介入試験ではなく、受診者の健康状態、医療へのアクセス、医師の診療能力など、信頼以外の要因が結果に影響した可能性があります。また、後者は信頼そのものを評価した研究ではありません。したがって、これらの結果から因果関係を断定することはできませんが、医療者への信頼やコミュニケーションの質が、治療満足度や治療計画の実行・継続に関係する可能性を示すデータと考えられます。
以上から、医療者への信頼は治療満足度との関連が特に強く、相談のしやすさや、服薬・自己管理の継続などを介して、長期的な治療経過に間接的に影響する可能性があると考えるのが適切です。しかし、信頼と客観的な治療転帰との因果関係は、まだ十分に証明されていません。
■当クリニックも改善の途上です
ここまで述べた内容は、当クリニックや院長が、すでに十分な信頼を得られる診療を実践できていると主張するものではありません。
糖尿病外来では、血糖値、血圧、体重、検査結果の確認、処方薬の調整、合併症の評価など、限られた診療時間のなかで確認しなければならない項目が数多くあります。混雑している時間帯には、医療者側が説明を急いでしまったり、受診者が本当に相談したかったことを十分に尋ねられなかったりすることもあります。
院長自身も、次のような点を自ら振り返る必要があると考えています。
パソコンの画面を見ている時間が長くなっていなかったか
受診者の話を途中で遮っていなかったか
検査値の説明だけで診療を終えていなかったか
医学的に正しいことを伝えるあまり、生活上の事情への配慮が不足していなかったか
「分かりましたか」と尋ねるだけで、本当に理解できたかを確認していなかったのではないか
一度の診療ですべての問題を聴き取り、十分に説明することは容易ではありません。受診者によっては、詳しい質問を負担に感じることもあり、年齢や病状、希望によって必要な説明や支援も異なります。それでも、忙しさを理由にせず、限られた時間のなかで何を改善できるかを考え続ける必要があります。
医療者が「自分は信頼されているはずだ」と思うことと、受診者が実際に信頼を感じていることは、必ずしも同じではありません。医療者がよかれと思って行う説明や質問が、かえって受診者の負担になることや、その意図が十分に伝わらないこともあります。また、忙しさのなかで受診者の不安や希望を聞き逃してしまうこともあります。
当クリニックも、まだ十分にできていない点を認識しながら、より話しやすい診療環境をつくること、責める言葉を避けること、検査値だけでなく生活環境を理解すること、治療の選択肢と限界を分かりやすく説明すること、受診者からのご意見を診療改善に生かすことに努めてまいります。
■AI時代にも残る医療者の役割
AIは、検査結果の解析、治療薬の選択支援、記録作成など、医療の多くの場面で活用されるようになっています。一方、Warraich氏は、AI技術が発展するほど、医療者がどのように受診者と話し、関係を築くかが、医療者に残る重要な価値になると指摘しています[1]。
勿論、これは現時点では将来に対する見解であり、科学的に確立した結論ではありません。それでも、受診者の話を丁寧に聴くこと、数値の背景にある生活環境を理解すること、不安や迷いを受け止めること、分かりやすい言葉で説明すること、複数の選択肢から一緒に治療方針を考えることは、生活環境病の外来診療において今後も重要です。
■おわりに
医療者への信頼は、治療満足度だけでなく、受診者が生活上の問題や治療の困難さを率直に話し、治療を理解して納得のうえで継続することとも関連すると報告されています[6,7,10,11,12,13,14]。
こうした過程を介して、血糖、血圧、脂質、体重などの長期的な管理や、合併症予防に間接的に関係する可能性があります。
一方で、信頼が高ければ必ず検査値が改善するわけではなく、信頼と客観的な治療転帰との因果関係も十分に証明されていません。だからこそ、信頼の重要性を過度に強調せず、医療者側の態度や説明を振り返るための指標として捉えることが大切だと考えます。
| 受診者との信頼を毎回の診療を通じて少しずつ築けるよう、 院長自身も日々の診療を振り返り、コミュニケーションを含めた自己研鑽と診療の改善を継続してまいります。 |
■文献
1. Warraich H. Everything I Know About Patient Trust, I Learned at the VA. Medscape. July 24, 2026.
2. American Diabetes Association Professional Practice Committee for Diabetes. Comprehensive Medical Evaluation and Assessment of Comorbidities: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1):S61-S88. doi:10.2337/dc26-S004.
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4. Dickinson JK. The Experience of Diabetes-Related Language in Diabetes Care. Diabetes Spectr. 2018;31(1):58-64. doi:10.2337/ds16-0082.
5. Dickinson JK, Guzman SJ, Maryniuk MD, et al. The Use of Language in Diabetes Care and Education. Diabetes Care. 2017;40(12):1790-1799. doi:10.2337/dci17-0041.
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(文責:医療法人寿里会すぎもと内科・糖尿病内科クリニック杉本一博)